【追悼文】
追悼文掲載にあたって ―小嶋裕三氏、横関健三氏を偲んで―
小川 順
京都大学大学院農学研究科 (酵素工学研究会会長)
昨年末から本年の年始にあたり、酵素工学研究会は、お二人のかけがえのない方々を失うこととなりました。
お一人は、本会副会長を現役として務められていた小嶋裕三氏 (天野エンザイム株式会社) です。2021年以来、副会長を2期4年にわたって務めていただく予定でしたが、2期目半ばの2024年1月5日にご逝去されました。同年代である筆者が会長を務める期間、企業人としての立場から本会の運営に多大な貢献をいただきました。この期間は、コロナのただ中からその後の新たな活動を模索する時期であり、講演会もWEB、ハイブリッド、国際会議 (Active Enzyme Molecule 2022) との共催、そして対面形式へと目まぐるしく変わる不安定な時期でしたが、持ち前の冷静かつ俯瞰的な判断で、本会の運営がゆるぎなきものとなるようサポートいただきました。個人的には、筆者が博士学生時代に、研究員として来られていた小嶋さん (親しみを込めて呼ばせていただきます) と、将来の酵素工学の展開をひよっこ研究者ながら夢を持って語り合っていたことを思い出します。その思いが形となり、共に酵素工学研究会の運営に携わる機会を得、次の世代に伝えるべきものを語り合っている最中に小嶋さんを失うこととなったのは残念でなりません。
もうひと方は、元副会長で名誉会員でもあられた横関健三氏 (元・味の素上席理事、京都大学客員教授) です。2023年12月28日に急逝されました。企業研究者としてのご活躍、本研究会への多大な貢献は、本会会員の皆様にも、横関氏の誰からも愛される人柄と共に記憶に深く刻まれていることと思います。私が横関先生 (尊敬の念を込めて呼ばせていただきます) と近しくさせていただいたのは、先生が京都大学農学研究科の寄附講座・産業微生物学講座の客員教授をなさっておられたことが縁となっています。京都大学農学研究科の清水昌教授が2006年に開設された本寄附講座の初代客員教授であられ、最初の3年間は清水先生と共に、大学教育・研究に企業の気風をうまく取り入れる新たな取り組みに邁進されておられました。その後の3年は、清水先生の後を引き継いだ駆け出し研究室主宰者の筆者を、大所高所から厳しくも優しく指導いただきました。学生にも熱き思いを持って接しておられ、卒業生はまるで父のように横関先生を慕っておりました。東京在住の卒業生たちは、頻繁に先生を囲む会を企画し、生涯にわたる密なお付き合いをさせていただいておりました。人とのつながりを大切にする横関先生の運営・教育方針をとおして、本当に大切なものを見失うことなく真摯に取り組む姿勢を身をもって示していただきました。まだまだ道半ばである筆者としては、大切な師匠の一人をあまりに突然に失い、悲しみに堪えません。
本誌では今回、お二人に近しい方々からの思い出の文章をいただき、あらためて、お二人のお人柄、ご功績を振り返るとともに、心からの感謝と哀悼の意を捧げる機会を持ちたいと思います。小嶋さん、横関先生、ありがとうございました。会員一同、酵素工学の新たな展開を目指し、引き続き励みたいと思います。お二人のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。